大島早貴子さんの個人大賞

以前つくったWebサイト本の記憶での企画「個人大賞」に頂いた投稿を転載致します。

【個人大賞とは】あなたにとって「一番」の本は何ですか。皆がそれぞれ一番お気に入りの本を一冊ずつ持ち寄ったら、きっと素敵な場所ができあがるはずです。個人大賞はそんな「一番」の集う場所。実名制です。

『海洋国家日本の構想』(高坂正堯)

海洋国家日本の構想 (中公クラシックス)

本書は、国際政治学者の高坂正堯が1963年~64年に著した七篇の論文を集めた論文集である。
七篇のうち、最初の「現実主義者の平和論」と、最後の「海洋国家日本の構想」を柱とした本書は、
海に囲まれ、東にも西にも属さないという特殊な地理関係にある日本の取るべき施策について論じている。

アメリカや中国といった大国に従属するのではなく、海洋国家イギリスを見習い、独自の路線を持つべきであるという提言は
日本が対米・対中従属の波に飲まれることなく、自立した国家として存在するために今日においても有用な論理であると感じた。

本文中において、同氏の著作「国際政治」や「宰相吉田茂」で述べられた理論がたびたび用いられているが、
この二作も国際政治や日本外交の基礎を抑えるための基本書であり、合わせてオススメしたい。

(大島早貴子/20代/大学生)
2013年7月4日