笹木秀実さんの個人大賞

以前つくったWebサイト本の記憶での企画「個人大賞」に頂いた投稿を転載致します。

【個人大賞とは】あなたにとって「一番」の本は何ですか。皆がそれぞれ一番お気に入りの本を一冊ずつ持ち寄ったら、きっと素敵な場所ができあがるはずです。個人大賞はそんな「一番」の集う場所。実名制です。

『死ぬときに後悔すること25』(大津秀一)

死ぬときに後悔すること25 (新潮文庫)

後悔の無い人生を送りたいならば、この本を読むべきである。著者の大津秀一氏は、終末期医療の現場で1000人の死を見届けた緩和医療医。人が後悔する内容は「だいたい決まっている」と氏は言う。本書では終末期の患者が抱く代表的な25の後悔について、具体的な患者の事例も交えながら丁寧に紹介されている。

高校2年に読了した当時の私が思ったことを正直に言えば、「ふ~ん、こんなものか」だった。本書で紹介される後悔は(当時の主観では)どれも単純なものであったし、中には共感できないものもあった。ところが、数ヶ月経ったある時、決断に迫られたときの考え方が以前と比較して変化しているのを感じた。「今の自分の生き方を、80年後の自分は後悔しないだろうか?」という視点でものを考えるようになっていた。私は当時を、後悔という分かり易いテーマを通じて、死や人生について向き合い始めた時期と振り返る。そのきっかけはもちろん本書だ。

人は必ず死ぬのだから、死を起点に自分の人生を眺めることは一度やってみる価値がある。新しい視点を提供してくれた本書に私は感謝している。

(笹木秀実/20代/大学生)
2013年5月14日