本当は教えたくない、正しい企業研究のやり方

有価証券報告書の「対処すべき課題」を読みましょう。

就活をするにしても営業をするにしても、大事なのは志望企業(営業先)が抱えている課題を分析し、自分という人材が(売ろうとしている商品が)いかにその課題を解決できるのかを魅せることですよね。(ここでは企業が抱えている課題を分析することを企業研究と呼びます。)

有価証券報告書では「対処すべき課題」という項目で、企業が自ら自社の抱えている課題を宣言しています。企業研究でこれを読まない手はありません。

ただ有価証券報告書は100ページ以上におよび、とても小難しく読みにくいのが問題です。(例:トヨタの有価証券報告書)でも安心して下さい。「Ullet(ユーレット)」があります。(例:トヨタのUllet

それではUlletを用いてどのように「対処すべき課題」を読み解いていけばよいのか。2つの指針をご紹介します。

1,同業他社の課題と比較

ただ「対処すべき課題」を読むだけではなく、同業他社のそれと比較することで、さらに理解を深めることができます。例えば地方銀行の課題を考える場合、同時に大手メガバンク3社の「対処すべき課題」も読むことで、地方銀行とメガバンクの課題がどう異なるのかを分析することができます。

2,時系列で比較分析

また、一年前の有価証券報告書との差分にも重要な情報が隠されています。安定している会社は「対処すべき課題」を毎回コピー&ペーストで済ます事も多いですが、もしそこに変化があるとしたら重大な決意が読み取れます。例えばトヨタ自動車は、2016年の報告書から「危機対応力」という言葉を新たに使用し始めました。そして2017年の報告書ではさらに踏み込んで「自動車事業そのものが大きな変革の時期」と述べています。

「電動化・情報化・知能化」という言葉を用いるほどに年々課題が具体的になってきたトヨタには、どういう魅せ方で自分という人材を(商品を)売り込むのが効果的だろうか、と次は考えればよいのです。このように、「対処すべき課題」を読むことは企業研究において必要不可欠です。

資本関係からニュースを読み解く

Ulletを使うと、各企業の保有株を簡単に調べることができ、ニュースの裏側を知ることもできます。例えば「ローソンの保有株」を見ると、ローソンが調剤薬局のクオールの株を保有していることが分かります。このことを知っていると、今年の2月に三菱商事がローソンを子会社化したニュースを見たときに、表面的な情報から一歩進んで、「クオールが完全に三菱系になるんだな」ということまで考え至ることができます。

Ulletを使いこなすには

Ulletはツールにすぎません。それを使う者の「情報を結びつけて考える力」次第で、宝の持ち腐れにもなればとても強力な武器にもなり得ます。それぞれの情報の持つ意味を知れば知るほど、企業研究も深みが増すでしょう。各データをどういう視点で分析すればよいのか、それを学ぶにはUlletの生みの親である西野さんが執筆された書籍を読むのが近道です。ここに紹介しておきます。

僕はこの本を読んで、同じ情報に触れても「読み方」にここまで差があるのか、とショックを受けました。また、この本を読んでからは日経新聞の読み方も変わりました。

企業をしらべれば人生が変わる! -就活やビジネスを成功に導くユーレット活用術-

『企業をしらべれば人生が変わる!』を読んでひと通りUlletの情報の見方を学んだ後は、同じく西野さん著の『誰が世界を変えるのか?』を読んで、「情報を紐付けて仮説を立てるとはどういうことか」を学ぶことをお勧めします。

誰が世界を変えるのか? ~日本企業の未来予想図

僕自身も、Ulletのおかげで第一志望の会社から内定を頂きました。志望会社の「対処すべき課題」を読んで、この会社がデジタル技術による変革をリードできる人材を欲していると読み取り、自分がその課題に取り組み会社に貢献できる人材であることをプレゼンした結果でした。