福田暉さんの個人大賞

以前つくったWebサイト本の記憶での企画「個人大賞」に頂いた投稿を転載致します。

【個人大賞とは】あなたにとって「一番」の本は何ですか。皆がそれぞれ一番お気に入りの本を一冊ずつ持ち寄ったら、きっと素敵な場所ができあがるはずです。個人大賞はそんな「一番」の集う場所。実名制です。

『リプレイ』(ケン・グリムウッド)

リプレイ (新潮文庫)

物語は主人公Jeff Winstonが死ぬシーンから始まる。

ー 息ができない ー

そう思いながらも納得のいかない結婚、仕事への不満を募らせたつまらない一生を終えた・・・はずだった。

目が覚めると彼は18歳の大学生に戻っていた。

皆さんは今の記憶を引き継いだまま昔に戻れたらということを考えたことはないだろうか。
いわゆる強くてニューゲームというやつである。
様々なタイムトラベル小説が出版される中、この主人公は一味違う。
ただ単純に時間が戻るというわけではなく、
18歳から42歳の時間を永遠にループする宿命を背負った男の話である。

そう。どんなに新しい人生がうまくいっていても42歳で必ず死に、また18歳からリスタートを送らなければならない。
そして、どんなに人生を終えたいと思っても必ずその輪廻からは抜け出せないのである。

異なる仕事、異なる人間関係、異なる恋人、全く違う人生を歩む
この小説ではそんな主人公の9回の人生を描いている。

また、小説を通じて筆者KENGRIMWOODは「人生とは何か。」「幸福とは何か。」について言及している。

1988年度 世界幻想文学大賞 受賞作

あなたは人生をやり直したいと思いますか?

(福田暉/20代/大学生)
2013年5月16日

笹木秀実さんの個人大賞

以前つくったWebサイト本の記憶での企画「個人大賞」に頂いた投稿を転載致します。

【個人大賞とは】あなたにとって「一番」の本は何ですか。皆がそれぞれ一番お気に入りの本を一冊ずつ持ち寄ったら、きっと素敵な場所ができあがるはずです。個人大賞はそんな「一番」の集う場所。実名制です。

『死ぬときに後悔すること25』(大津秀一)

死ぬときに後悔すること25 (新潮文庫)

後悔の無い人生を送りたいならば、この本を読むべきである。著者の大津秀一氏は、終末期医療の現場で1000人の死を見届けた緩和医療医。人が後悔する内容は「だいたい決まっている」と氏は言う。本書では終末期の患者が抱く代表的な25の後悔について、具体的な患者の事例も交えながら丁寧に紹介されている。

高校2年に読了した当時の私が思ったことを正直に言えば、「ふ~ん、こんなものか」だった。本書で紹介される後悔は(当時の主観では)どれも単純なものであったし、中には共感できないものもあった。ところが、数ヶ月経ったある時、決断に迫られたときの考え方が以前と比較して変化しているのを感じた。「今の自分の生き方を、80年後の自分は後悔しないだろうか?」という視点でものを考えるようになっていた。私は当時を、後悔という分かり易いテーマを通じて、死や人生について向き合い始めた時期と振り返る。そのきっかけはもちろん本書だ。

人は必ず死ぬのだから、死を起点に自分の人生を眺めることは一度やってみる価値がある。新しい視点を提供してくれた本書に私は感謝している。

(笹木秀実/20代/大学生)
2013年5月14日