笹木秀実さんの個人大賞

以前つくったWebサイト本の記憶での企画「個人大賞」に頂いた投稿を転載致します。

【個人大賞とは】あなたにとって「一番」の本は何ですか。皆がそれぞれ一番お気に入りの本を一冊ずつ持ち寄ったら、きっと素敵な場所ができあがるはずです。個人大賞はそんな「一番」の集う場所。実名制です。

『死ぬときに後悔すること25』(大津秀一)

死ぬときに後悔すること25 (新潮文庫)

後悔の無い人生を送りたいならば、この本を読むべきである。著者の大津秀一氏は、終末期医療の現場で1000人の死を見届けた緩和医療医。人が後悔する内容は「だいたい決まっている」と氏は言う。本書では終末期の患者が抱く代表的な25の後悔について、具体的な患者の事例も交えながら丁寧に紹介されている。

高校2年に読了した当時の私が思ったことを正直に言えば、「ふ~ん、こんなものか」だった。本書で紹介される後悔は(当時の主観では)どれも単純なものであったし、中には共感できないものもあった。ところが、数ヶ月経ったある時、決断に迫られたときの考え方が以前と比較して変化しているのを感じた。「今の自分の生き方を、80年後の自分は後悔しないだろうか?」という視点でものを考えるようになっていた。私は当時を、後悔という分かり易いテーマを通じて、死や人生について向き合い始めた時期と振り返る。そのきっかけはもちろん本書だ。

人は必ず死ぬのだから、死を起点に自分の人生を眺めることは一度やってみる価値がある。新しい視点を提供してくれた本書に私は感謝している。

(笹木秀実/20代/大学生)
2013年5月14日

佐藤真央也さんの個人大賞

以前つくったWebサイト本の記憶での企画「個人大賞」に頂いた投稿を転載致します。

【個人大賞とは】あなたにとって「一番」の本は何ですか。皆がそれぞれ一番お気に入りの本を一冊ずつ持ち寄ったら、きっと素敵な場所ができあがるはずです。個人大賞はそんな「一番」の集う場所。実名制です。

『これからの「正義」の話をしよう』(マイケル・サンデル)

これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

正義とは何か。

日本人はあんまり”正義とは?”とか哲学的なことを日常で話すことは少ないけどこの本では個人の権利がどこまで優先されるか、そしてどんな時に政府が個人の自由に介入できるのかといった哲学的な問題が投げかけられる。
徴兵制、代理出産、中絶、同性婚、アファーマティブ・アクションなど日本ではあまり議論にはならないことがこの本にはいろいろ書かれている。

この本の魅力はある事に対して賛成側・否定側の両方の視点から書かれていることである。普通の本であれば著者の意見のみが書かれているが一方的な視点で終わってしまう。マイケル・サンデルはあえて自分の意見を言わずいろんな人の考え方を紹介し何が一番正しいかは読者に任せる。これが読んでるほうとしては楽しい。特に哲学的な問題は完全に正しいという答えがないから人それぞれ意見が異なってくる。いろいろな意味でこの本は頭を刺激して多面的な物事の見方を提供してくれる。

物事を考えることが好きな人に最高の一冊!!

(佐藤真央也/20代/大学生)
2013年5月13日